解説
背骨が痛む原因
「最近なんだか背骨のあたりが痛い…腰痛かな、年かな?」ということはないでしょうか?年齢のせいにしてみたり、運動不足だから休みを取って散歩でもすれば治るとやり過ごしてみても、背骨のように大きな部分が痛むとなんだか不安になりますね。
背骨の痛みを根本的に解消できるように、まずは痛む原因から見ていきましょう。よくある原因として、姿勢のクセなどで背骨の周りの筋肉が痛む、整形外科的な痛みが挙げられます。姿勢や動作によって筋肉の痛みが起きる場合には、普段使う筋肉が足りない可能性があります。筋肉の主な成分はたんぱく質ですから、しっかりたんぱく質をとって筋肉をつくる必要があります。
その他の原因として、背骨そのものの病気で痛みが出ることがあります。「いつの間にか骨折」などといわれることもある、“骨粗鬆症(こつそしょうしょう)”による背骨の圧迫骨折です。骨粗鬆症は、骨がすかすかになる生活習慣病の1つで、カルシウム不足などが原因になります。

肉に含まれる栄養素
筋肉の痛みからくる背骨の痛みにはたんぱく質を、背骨そのものの病気で出る背骨の痛みにはカルシウムを積極的に取るとよいのですが、肉はこの2つを多く含んでいる食材です。肉を食べていないと、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。肉を食べない原因には、アレルギーや肉が好きでない、といったさまざまな理由が考えられますが、わかりやすい例で肉を全く食べないベジタリアンの場合を考えてみましょう。
ベジタリアンに不足しがちな栄養素はたんぱく質やカルシウム、鉄分や亜鉛などがあります。もちろんたんぱく質は肉類からしか摂取できないわけではありません。たとえば大豆製品などからの摂取することもできますが、植物性のたんぱく質は動物性たんぱく質と比べて吸収率が低いため、どうしても不足しがちな栄養素となります。
筋肉の主な成分はたんぱく質ですから、たんぱく質の摂取が少ないと運動をしていても筋肉を作る材料が少ないため筋肉が増えなくなってしまうのです。必要なところに筋肉が作られないと姿勢が悪くなり、さらにあちこちの筋肉に負担がかかって痛みを感じることがあります。
カルシウムも不足しがちな栄養素です。カルシウムは骨の材料であり、不足すると骨がもろくなります。骨はもろくなっても痛みを感じません。ですが、普段であれば問題ないようなちょっとしたジャンプや身体をひねる動作をしたときに骨にひびが入ることがあり、これが背骨の痛みの原因になるのです。
肉を食べる量が少ないだけでなく、卵や乳製品の摂取量も少ない人はビタミンB12が不足しがちです。ビタミンB12には傷ついた神経を修復する作用があり、ビタミンB12が不足すると神経の傷が治りにくく、痛みが持続してしまうのです。
もし、背骨の痛みが気になるようであれば、適度に肉を食べるようにしましょう。アレルギーや信念のために肉を食べられないのであれば、たんぱく質やカルシウム、ビタミンB12といった不足しがちな栄養素を補うことができるよう、食事やサプリメントを見直してみましょう。

<参考文献>
■日本イーライリリー
『骨粗しょう症による「いつのまにか骨折」』
■林浩一郎著 全日本病院出版会
『肩こり、首・腰の痛みを自分で治す・予防する』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、肉類を食べていない人は、人よりも背骨が痛むことが多くなりやすくなるリスクが8.18倍になります。
A: 月に1回以上、肉類を食べていますか?
B: 人よりも背骨が痛むことは多いですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
98.1%
303人 |
1.9%
6人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
10.68%
33人 |
87.38%
270人 |
0.97%
3人 |
0.97%
3人 |
Z検定値 | 2.96 |
---|---|
オッズ比 | 8.18 |
信頼度 | 99.6% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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