解説
ポテトチップスとアレルギー
ポテトチップスが好きで、封を開けるとその場で1袋食べてしまう、という人もいるかもしれませんね。ポテトチップスは、コンビニでもスーパーでもいろんな種類のものが置かれているため、食べる機会も多いと思います。しかし、認知度は低いですが、実はジャガイモはアレルギーの原因になることがあります。
アレルギーの多くはたんぱく質に身体が過剰反応することで発症します。ジャガイモはたんぱく質の少ない食べ物であるため、たんぱく質が豊富な卵や牛乳と比べるとアレルギーが出てしまう人はそれほど多くありません。それでも身体が一度反応すれば、アレルギーの症状があらわれることがあります。一般によくみられる症状は、じんましんやぜん息のような苦しそうな呼吸です。食べるときに口に接することから、口の中がかゆくなったり、腫れたりすることもあります。口の粘膜は鼻やのどとつながっているので、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりになることもあります。
油でさらにアレルギー体質になる
口の中がかゆくなったり、口や鼻、のどの粘膜が腫れたりといったアレルギー症状は、ジャガイモに限らずどんな食べ物であっても起こりうる症状です。さらに、ポテトチップスにはもうひとつ問題があります。それは油で揚げている、ということです。揚げものによく使われる油には“リノール酸”が含まれています。リノール酸は食用油の健康成分として宣伝されたこともあるので、耳にした人も多いかもしれません。健康によいというイメージもありますが、身体に必要な油の一種であるものの、実は取りすぎによる健康リスクもあるのです。
リノール酸は身体の中で“アラキドン酸”に変化します。このアラキドン酸は細胞の膜を作ったり、脳の発達に関連したりといった身体には欠かせない役割を持っています。しかし、アラキドン酸が代謝されてできる物質の中には、アレルギー反応を引き起こしやすくしたり、悪化させたりする働きを持つ物質もあります。リノール酸の取りすぎは、深刻なアレルギー反応を引き起こす原因になるおそれがあるのです。
ポテトチップス1袋に含まれる油の量はおよそ30g。成人が1日に必要な油の量の半分が含まれています。ポテトチップスだけでかなり多くの油を取ってしまうことになるのです。
ジャガイモアレルギーと分かれば、もちろんポテトチップスは口にすべきではありません。しかしジャガイモそのものに問題はなかったとしても、ポテトチップスに含まれる油の取りすぎはアレルギー体質の原因になりうることを覚えておきましょう。
リノール酸によってアレルギー反応が起こりやすくなるという問題は、“α-リノレン酸”を含む油を取ると抑えることができます。α-リノレン酸は、亜麻仁油(アマニ油)やえごま油に多く含まれており、身体の中でDHA、EPAに変わります。DHAやEPAは、血管の健康を保ち、頭痛などの症状にも効果があることが知られていますが、実はアレルギーにも効果があるという報告もあり、アレルギーの予防や症状改善に期待されている成分なのです。アレルギーが気になる人は、食事に使う油を意識して、α-リノレン酸を多く含むえごま油などに切り替えてみましょう。
<参考文献>
■文部科学省
『食品成分データベース』
■金城学院大学オープン・リサーチ・センター
『Ⅰ章 最新の脂質栄養を理解するための基礎―ω(オメガ)バランスとは?』
執筆 : 医師 春田萌
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
ポテトチップスを食べないようにしていない人は、人よりも鼻がつまりやすくなるリスクが1.44倍になります。
A: ポテトチップスを食べないようにしていますか?
B: 人よりも鼻がつまりやすいですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
51.2%
538人 |
48.8%
512人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
16.95%
178人 |
34.29%
360人 |
20.29%
213人 |
28.48%
299人 |
Z検定値 | 2.85 |
---|---|
オッズ比 | 1.44 |
信頼度 | 99.5% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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