解説
“単品ダイエット”の成功は長続きしない?
引き算型ダイエットとは、食品の摂取を減らし、特定の食品の摂取だけを増やすようなダイエットのことを指します。引き算型ダイエットには、1日の食事の3食すべて、もしくは1食か2食で特定の食品に置き換える単品ダイエットや、ごはんや麺、パンなどの主食、さつまいもやじゃがいもなどの芋類、砂糖類などを制限する糖質制限ダイエットなどがあります。
こうした引き算型のダイエットをしている人は、一度はダイエットに成功して体重が減ったとしても、その後は反対にリバウンドしやすくなるため、結果的に標準体重を上回るリスクが高くなるおそれがあります。
単品ダイエットには、たとえば、りんごダイエット、バナナダイエット、キャベツダイエットなどがあります。いくつか耳にしたことがある人も多いでしょう。「フルーツや野菜だけのダイエットならビタミンが豊富で、栄養もとれるし、ご飯などに比べると低カロリーで身体に良さそう」と思われる人もいるかもしれません。ですが、フルーツに含まれる果糖のカロリーは砂糖のカロリーとさほど変わりがありません。それどころか、果糖の方が中性脂肪を蓄積させるといった性質もあるのです。このことから、長期に渡るフルーツダイエットは、逆に太りやすくなってしまう可能性があるともいわれています。
単品ダイエットを開始して、最初は「体重が減ってきたかな」という実感があったとしても、それは実は筋肉を減らしてしまっている可能性も高いのです。筋肉を減らしてしまうと、日々の生活で消費するカロリーが減って代謝が低くなり、太りやすくなってしまいます。
また、特定の食品しかとらないため、必要な栄養素がしっかりとれず、栄養不足に陥りやすいので注意したいものです。
今、話題の糖質制限にも注意が必要!
引き算型ダイエットには、“糖質”とよばれる、主食や芋類、砂糖、また糖質が多い調味料(みりんや砂糖)、糖質が多い野菜(かぼちゃ、れんこん、ごぼう)なども制限、もしくは控えめにする“糖質制限ダイエット”も含まれます。ただ、こうしたダイエット方法では糖質を控えた分、たんぱく質はしっかりとり、脂質は特に制限しないという方法をとっている人も多いようです。
この方法では、動物性脂肪の過剰な摂取が懸念されます。動物性脂肪をとりすぎると、心疾患などのリスクも増えてしまいます。また極端な糖質制限により、脂肪から糖質を作る、肝臓でたんぱく質を糖に変換するといった必要があり、身体への負担が大きくなってしまいます。さらに、脂肪から糖質を作る際に出る“ケトン体”は体臭の原因になりますので、極端な糖質制限ダイエットはおすすめできません。
糖質制限でも、糖質をゆるく制限していくダイエット法もあります。たとえば、今まで大盛りで食べていたご飯を普通盛りにしてみる、糖質が多い調味料を控えた献立を作ってみるなどのやり方があります。こうした軽めの糖質オフならば生活習慣病予防にもつながりますので、毎日の食生活にとり入れてみるのも良いでしょう。
極端な引き算型ダイエットでは、減量という結果が早く出やすい一方、リバウンドもしやすくなってしまいます。リバウンドなく健康的にダイエットするには、栄養バランスや食事の量を考えながら食べることが大切。引き算型ダイエットのアイディアをとり入れるのも良いですが、極端になりすぎないように注意しましょう。
<参考文献>
■農林水産省
『油脂やトランス脂肪酸の健康に与える影響』
■文部科学省
『食品成分データベース』
執筆 : 管理栄養士 高橋美枝
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
引き算型のダイエットを行わないようにしていない人は、標準体重を上回りやすくなるリスクが3.03倍になります。
A: 食品の摂取を減らし、特定の食品の摂取だけを増やす引き算型のダイエットを行わないようにしていますか?
B: 標準体重を上回っていますか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
71.5%
206人 |
28.5%
82人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
19.1%
55人 |
52.43%
151人 |
14.93%
43人 |
13.54%
39人 |
Z検定値 | 4.16 |
---|---|
オッズ比 | 3.03 |
信頼度 | 99.9% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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