解説
シイタケには驚くべき効果が
シイタケは、スーパーや八百屋などで野菜と一緒に販売されていることが多いので、植物と思っている方もいるかもしれません。しかし、シイタケは植物ではなく生物学的には菌類の仲間です。シイタケのような市販のきのこ類の多くは、枯れた木などから栄養分を吸収して育ちます。
シイタケには、食物繊維、鉄、ビタミンB、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれているので健康にもよいことがわかっています。しかし、シイタケのよいところは栄養素だけではありません。
まず、シイタケには“レンチナン”という成分が含まれています。レンナチンには、免疫力を活性化する働きがあるため、アレルギー反応や炎症を抑えるほか、がんを抑える効果があるとされています。また、シイタケには“エリタデニン”という成分も含まれています。エリタデニンには血圧やコレステロールの数値を下げる効果が期待できます。
実際にアレルギー疾患の1つであるアトピー性皮膚炎患者40名を対象にした研究では、シイタケの成分であるレンチナンを投与すると皮膚のかゆみや発疹、自覚症状が低下し、ハウスダストやダニ、スギ花粉などに対するアレルギー反応が低下することを確認できました。
シイタケの効果を最大限に活かす食べ方とは
シイタケには抗アレルギー効果や免疫力を活性化する効果があることがわかりました。アトピー性皮膚炎や鼻炎、花粉症の方はシイタケを食べるようにすると、症状を抑えることができるかもしれません。
では、シイタケの効果を最大限に得るためにはどのように食べるとよいのでしょうか。実は、シイタケは採取してから3〜4日で栄養成分が10%程度にまで低下するといわれています。つまり、なるべく取れたてを早く食べた方がよいということです。
また、シイタケに含まれるビタミンB1やB2は水に溶けやすいため、長い間洗うとせっかくの栄養素が流れ出てしまう可能性があります。そして加熱時間が長ければ長いほど、さらに栄養素を失ってしまいます。
以上をまとめると、シイタケの栄養素を効率よく取るには、買ってからすぐに食べる、水洗いや加熱の時間は短くする、といったことがポイントとなります。
汁物や鍋であればスープに溶けだした栄養素を一緒に取ることができるのでおススメですし、炊き込みご飯にしてもよいでしょう。また、シイタケを細かく切って調理しても栄養素は低下しないといわれているので、細かく切ってハンバーグなどに入れてもよいかもしれません。
シイタケは免疫力を高め、アレルギーによる症状を抑えてくれる効果が期待できます。アレルギー体質の方、疲れやすい方、風邪をひきやすい方などは、シイタケを積極的に取るよう心がけてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
■Mushroom science and biotechnology
『キノコの薬効成分』
■金沢大学
『キノコの薬効』
執筆 : 医師 大塚真紀
編集 : my healthy(マイヘルシー)編集部
統計データ
月に1回以上、シイタケを食べていない人は、花粉症になりやすくなるリスクが2.04倍になります。
A: 月に1回以上、シイタケを食べていますか?
B: 花粉症ですか?
A | |
---|---|
はい | いいえ |
61.5%
190人 |
38.5%
119人 |
B | |||
---|---|---|---|
はい | いいえ | はい | いいえ |
24.27%
75人 |
37.22%
115人 |
22.01%
68人 |
16.5%
51人 |
Z検定値 | 3.03 |
---|---|
オッズ比 | 2.04 |
信頼度 | 99.7% |
- ・オッズ比
AをしないとBになるリスクがX倍になることを示しています。 - ・信頼度
信頼度はデータの関連性の正しさを表しています。
(統計学のZ検定を使用)
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